公正証書遺言とは、公証役場というところで公証人が作成してくれる遺言書のことです。
公正証書遺言を作成するためには、2人以上の証人が必要なため、自筆証書遺言に比べ信用性が高く、遺言書が無効になりにくいです。
今回は信用性の高い公正証書遺言があっても、遺留分の請求が可能なのか具体的な請求方法について解説していきたいと思います。
遺留分は公正証書遺言でも侵害できない権利
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に保障された最低限度の遺産の取り分のことをいいます。
遺留分の権利は、公正証書遺言であっても侵害することはできません。
そのため、公正証書遺言に「子どもには一切財産を残さず、妻にすべての財産を承継させる」といった内容を残したとしても、子どもが「遺産を取りたい」と考えたときには遺留分を請求することができます。
遺留分を請求する方法とは?
遺留分を請求したい場合、大きく3つの方法があります。
当事者同士の話し合いを行う
遺留分を請求したい場合、まず当事者同士での話し合いで解決する方法が考えられます。
当事者同士が合意すれば、裁判所での手続きは必要ありません。
ただし、当事者同士の場合、感情的になってかえって争いが大きくなる可能性もあるので注意が必要です。
家庭裁判所で遺留分侵害請求調停を行う
当事者間の話し合いで折り合いがつかない場合、家庭裁判所で遺留分請求調停を申立てる方法があります。
調停は、調停委員が仲裁役となって、話し合いで遺留分の問題の解決を目指す方法です。
しかし、あくまで話し合いで解決する方法なので当事者の合意がなければ成立しません。
遺留分侵害請求の訴訟を起こす
当事者同士の話し合いで解決しない場合、遺留分請求調停を起こす他に、裁判で請求する方法があります。
遺留分侵害請求の訴訟は、家庭裁判所ではなく簡易裁判所や地方裁判所で訴訟を申立てる必要があります。
簡易裁判所は請求額が140万円以下の場合、140万円を超える場合には地方裁判所が管轄になります。
訴訟に発展した場合、判決がくだるのでシロクロはっきりつけられると考える方もいらっしゃると思います。
しかし、裁判で勝訴するには自分の正当性を裁判所に認めてもらわなければならないため準備が大変ですし、訴訟が終わるまで相当の時間がかかる可能性があります。
更に裁判後、修復できないほど家族関係が悪化してしまうこともあるので注意が必要です。
まとめ
今回は公正証書遺言がある場合の遺留分の請求方法について解説していきました。
遺留分をはじめ、相続のトラブルは争族と呼ばれるほどの骨肉の争いに発展する可能性があります。
当事者同士で話し合いを行うと、なかなか折り合いがつかずトラブルが大きくなり、長引く可能性があります。
中日綜合法律事務所は、相続に関するお悩みの方の相談を承っております。
ご相談者さまの希望する結果に向かって尽力しますのでお困りの方はぜひご連絡ください。