■任意後見とは
任意後見制度とは、将来自分の判断能力が不十分になったときに備えて、任意後見人を契約によって定めておく制度です。任意後見人とは、本人に代わって法律行為を行う人を指します。また、権限の範囲は任意後見契約の時点で決めておくことになります。任意後見は、自身がまだ判断力を失っていないうちに後見人を決める点で、法定後見とは異なっています。
■任意後見制度の開始方法
任意後見を行うには、事前に任意後見人と契約したのち、公正証書を作成する必要があります。任意後見契約では、先ほどもご説明した通り任意後見人を任せる人(受任者)を決め、また、委託する権利を決めます。
受任者の合意が得られたら、次は公正証書の作成です。公正証書の作成は、公正役場で行うことになります。詳しい作成手順については、公証人役場で聞いてみるのがよいでしょう。費用については、「公正証書作成の基本手数料」に1万1,000円、「登記嘱託手数料」に1,400円、「登記所に納付する印紙代」に2,600円がかかります。
登記がなされたら、受任者は本人の心身の状況を常に把握するようにしましょう。適切な時期が来たら任意後見の開始を家庭裁判所に申し立て、後見監督人の選任を受けます。
■任意後見制度のメリット・デメリット
任意後見制度の最大のメリットは、本人が自由に任意後見人を選ぶことができる点です。さらに、家庭裁判所から派遣される任意後見人監督人により任意後見人の仕事ぶりをチェックできたり、契約内容が登記されることにより任意後見人の地位が公約に証明されたりする点もこの制度を利用する利点であるといえます。
反対に、デメリットとして挙げられるのは、「財産管理委任契約」ほどの迅速さがないこと、死後の処理を委任できないこと、法定後見制度では認められている取消権(本人がした意思表示の効果を後から後見人が取り消す権利)が認められないことなどです。
本人が既に判断能力を失っている場合には、法定後見制度を利用することになるので、注意が必要です。
任意後見契約
中日綜合法律事務所(弁護士 熊谷 考人)が提供する基礎知識
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