相続が発生した場合、誰がどの程度の遺産を相続するのかを決める遺産分割協議が開かれます。しかし、相続人が多くなればなるほど協議を開ける時間がなかなかとれず時間ばかりが経過してしまうことがあります。時間があまりにも経過してしまうと相続においてデメリットが発生する可能性もあり注意が必要です。
今回は、遺産分割協議の期限はあるのか、注意点も併せて解説します。
■遺産分割協議の期限
遺産分割協議そのものには、期限はありません。
相続発生から何年経過しても遺産分割協議は開けます。
ただ、遺産分割が長年されないと、土地の相続がされず、土地の利用に支障をきたすなどのリスクもあります。
そのため、実質的に遺産分割を早めるような制度が存在します。
例えば、民法改正により、特別受益と寄与分を遺産分割協議で主張できるのは10年に制限されます。
そのため、遺産分割協議そのものに期限はありませんが、相続内容によっては早めに協議を開いた方が良いというケースがあります。
■遺産分割協議の注意点
それでは、どのような点に注意しておけばよいのでしょうか。
代表的なものをいくつかご紹介します。
1.特別受益と寄与分
まずは、前述した特別受益と寄与分です。
特別受益とは、被相続人から財産を受け取った相続人の相続財産を法定相続分よりも少なくするためのものです。
寄与分とは、被相続人が財産を形成することに貢献した相続人の相続財産を法定相続分よりも多くするためのものです。
これら二つは相続を公平に行うために作られた制度です。
しかし、これらを主張することができるのは、2023年4月1日からの民法改正によって、相続発生から10年に制限されます。この期間を過ぎると相続に反映ができなくなってしまいます。
2.相続登記
2024年4月1日からは不動産登記法も改正され、相続登記が義務化されます。
相続発生により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内、または、遺産分割協議が成立した日から3年以内に不動産の名義変更登記をする義務が発生します。
もし違反した場合は、10万円以下の罰金が科されます。
したがって、3年以内に遺産分割協議を成立させる必要があります。
しかし、中には話がまとまらないなどの理由で協議が長引くこともあります。
そのような場合、相続人申告登記制度を利用するのがおすすめです。
この制度は、登記名義人の相続が発生した旨などを登記官に申し出ることで、義務を果たしたと見なされるものです。
3.相続税申告
相続発生によって、相続税の申告をしなくてはならないケースもあります。
そのようなケースでは、相続の発生を知った日から10ヶ月以内に申告しなくてはなりません。
申告しなかった場合には、延滞税などが課される可能性があります。
そのため、相続税の申告が必要な場合には、10ヶ月以内に遺産分割協議を成立させる必要があります。
また、10ヶ月以内に協議を成立させると、小規模宅地に関する特例などの残された遺族にとってメリットのある制度が利用できます。
もし、10ヶ月以内に協議がまとまらない場合には、相続税の申告をする際に3年以内の分割見込書を提出すれば、協議がまとまった後にでも利用できます。
しかし、10ヶ月以内に協議をまとめたときと比べると手間と費用がかかってしまいます。
■まとめ
今回は、遺産分割協議の期限はあるのか、注意点も併せて解説しました。
遺産分割協議そのものには期限はありませんが、その他の点で協議を早めに成立させる必要が生じます。自力で協議を早めに適切にまとめるのが難しい場合は、専門家への相談や依頼をおすすめします。
中日綜合法律事務所は、愛知県・岐阜県・三重県を中心に、皆さまの相続・遺言業務をサポートしております。
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遺産分割協議の期限はある?注意点も併せて解説
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