「遺留分」とは、一定の相続人に最低限保障されている相続できる割合のことをいい、この遺留分を請求できる権利のことを「遺留分侵害額請求」といいます(平成30年度の相続法改正により、従来の「遺留分減殺請求」という名称は改められた)。
遺留分制度は、被相続人(故人のこと)が死亡した後も一定の範囲で、その家族が生計を維持できることを保障する側面があります。つまり、例えば、「愛人に財産を全て譲る」といった遺言書があった場合、遺言書通りの遺産分割がなされてしまうと、これまで住んでいた自宅を明け渡さなくてはならなかったり、特に配偶者や未成熟児などは、十分な生活費が確保できないまま生活していかなくてはならなかったりします。そこで、これらの家族に遺留分として最低限相続できる割合を認めることで、今後の生計を維持できることを保障しています。
遺留分を主張できる相続人は、兄弟姉妹以外の者、すなわち、配偶者や、子どもや孫等の直系卑属、親等の直系尊属です(改正民法1042条1項柱書)。
主張できる遺留分の割合は、相続人の組み合わせによって次のように異なります(同条1項各号・2項、900条、901条参照。いずれも相続財産の価額に占める割合)。
・配偶者のみ 配偶者:2分の1
・配偶者と子ども 配偶者:4分の1 子ども:4分の1を人数で等分
・配偶者と直系尊属 配偶者:6分の2(3分の1) 直系尊属:6分の1を人数で等分
・配偶者と兄弟姉妹 配偶者:2分の1 兄弟姉妹:なし
・子どものみ 子ども:2分の1を人数で等分
・直系尊属のみ 直系尊属:3分の1を人数で等分
・兄弟姉妹のみ 兄弟姉妹:なし
遺留分を侵害された場合は、遺言により財産を相続・遺贈した者に対して、侵害された分を請求することになります。この請求を相手に通知する場合は、内容証明郵便を利用することによって、相手に送った内容や送った日付等が郵便局でも保存されるため、おすすめします。その他、請求に際してお困りの際は、弁護士等の法律専門家に相談するようにしましょう。
遺留分制度にも平成30年度相続法改正の影響を受けています。
まず、前記の通り遺留分を請求する権利の名称が「遺留分侵害額請求」に改められたほか、遺留分として侵害された分は金銭で受け取ることに限られること(改正民法1046条1項参照)、遺留分の請求を受けた者が直ちに金銭を準備できない場合には、裁判所に請求することによって、相当の期限を許与されること(つまり、財産が確保できる相当の期間、猶予されるということ。同条5項)などの改正点があります。
上記の改正された制度は、2019(令和元年)7月1日に施行されます。
弁護士 熊谷考人(中日綜合法律事務所)は、愛知県・三重県・岐阜県を中心に相続・遺言に関する初回相談無料で承っております。相続・遺言に関する様々なお悩みに対応しているので、相続・遺言でお困りの際は当職までお気軽にご相談下さい。
遺留分
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