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適法に解雇をするための条件|事業者が知っておきたい法的要件や注意点

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適法に解雇をするための条件|事業者が知っておきたい法的要件や注意点

労働法により従業員は法的な保護を受けており、反対に使用者である事業者側はさまざまな規制を受けています。そのため解雇を行うのも簡単ではなく、安易にクビを宣告してしまうと、それが無効になるだけでなく事業者側が損害賠償請求を受ける危険性もあります。
そのため従業員を雇っている方、あるいはこれから雇用を進めようと考えている方は、労働法に基づく適法な解雇の条件についても理解しておきましょう。

解雇をするための原則

解雇を決断する背景もさまざまで、従業員が重大な違法行為をはたらいたことを理由とする「懲戒解雇」、業績の著しい悪化に伴う「リストラ(整理解雇)」、その他従業員側の責任を理由に解雇を言い渡す「普通解雇」などがあります。

解雇の理由によって満たすべき条件は異なりますが、共通する原則として、労働契約法が定める「解雇権濫用法理」というものがあります。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

引用:e-Gov法令検索 労働契約法第16条

https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128/

そこで解雇の際は、①“客観的に合理的な理由”が存在しているかどうか、と②“その解雇は社会通念上相当”といえるかどうか、に着目しなくてはなりません。

①はたとえば、従業員が規律に反した、傷病などで労働能力を喪失した、業績悪化で人件費を負担できなくなった、などの理由の有無が重要といえます。

そのうえで②も満たす必要があります。①の理由の重大性と当該従業員の情状・処分歴などを比較して、「解雇も相当」といえるなら法的に解雇は有効です。しかし「解雇はやりすぎ」と評価されてしまうようなら、解雇は無効となってしまいます。その判断にあたっては、ほかの従業員に対する処分との均衡も考慮しなくてはなりません。

懲戒解雇をするための条件

上記の原則を前提に、従業員の重大な違反行為を理由に懲戒解雇を行うときは以下の条件を満たしているかどうかに着目しましょう。

  • 就業規則に解雇事由を定めていること
    ▹ 就業規則から、あらかじめ「○○をしたら懲戒解雇される」ということが予測できることが大事。
    ▹ 事後的に規定を設けてもこの条件を満たさない。
  • 解雇事由に該当していること
    ▹ 就業規則に定めた解雇事由に該当する事実の存在が必要。
    ▹ 業務に関わる罪を犯したこと、重大な業務命令違反、長期にわたる無断欠勤など。
  • 処分が相当であること
    ▹ 形式上確かに解雇事由に該当しているだけで常に懲戒解雇が有効になるわけではない。
    ▹ 個別の事情を見たうえで、処分の重さとつりあっていなければならない。
  • 解雇の手続きが適正であること
    ▹ 解雇の理由だけでなく、解雇をするための手続きも適正でなければならない。
    ▹ たとえば、当該従業員からも事情を聴取すること、弁明の機会を与えることなど。

懲戒解雇を行うときは、噂や推測の域を出ないまま決断することは避け、客観的な証拠を十分に備えてから処分を行いましょう。また、就業規則に定めていたとしても軽度の遅刻・仕事のミスなどを理由とする懲戒解雇は処分が重すぎるとして無効になる可能性が高いため注意してください。

整理解雇をするための条件

事業者側の問題を理由に解雇を行うケースもあります。いわゆる「リストラ」ですが、いくら業績が悪いからといっても自由に解雇できることにはなりません。以下の条件を満たしているかどうかに着目しましょう。

  • 従業員を減らす必要性があること
    ▹ 人件費カット等の必要性が客観的に示せることが必要。
    ▹ 破産寸前であることまでは求められないが、経営状況を鑑みて高度な必要性が求められる。
  • 解雇以外で解決する方法を模索したこと
    ▹ 相当な経営状況の悪化が認められたとしても、ほかに状況改善を図る有効な手段があるのなら、まずは解雇以外を検討すべき。
    ▹ たとえば、役員報酬をカットする、出向や配置転換も検討する、希望退職者を募るなど。
  • 人選に合理性があること
    ▹ 当該企業に解雇の必要性が認められたとしても、「誰を解雇するのか」という問題が残る。
    ▹ 業務内容や過去の処分歴、年齢、勤続年数などさまざまな事情を踏まえて、当該人物を選んだことに合理性が認められなければならない。
  • 解雇の手続きが妥当であること
    ▹ 解雇を行うことについて十分に説明を行うべき。
    ▹ 解雇の条件に関しても協議を行う。

整理解雇をしようとしているにも関わらず新規採用を続けていると、解雇の必要性が否定される可能性が高いです。また、人選に関しても役員や上司の主観で決断してはいけません。好みなどではなく、第三者が聞いても納得できる理由で選ぶ必要があります。

普通解雇をするための条件

普通解雇は、懲戒解雇と同じく従業員側の問題を理由とする解雇です。ただし懲戒処分として行う懲戒解雇とは異なり、普通解雇は債務(労務の提供)の不履行などを理由とする事業者側からの一方的な解雇を意味します。

懲戒解雇同様に、合理的な理由の存在と、解雇が社会通念上相当といえるものでなければなりません。また、解雇手続きも適正でなければなりません。

このように、法的に有効な解雇を行うための条件は懲戒解雇とも似ていますが、普通解雇では「就業規則への記載」が必須とはされていません。解雇に対する制限も懲戒解雇ほどは厳しくありません。
※ただし、解雇を言い渡す前に従業員に対して改善の機会を与えていることが重要。

そのため普通解雇の方が事業者にとって実施しやすいとも考えられますが、懲戒処分を受けるほどの悪質な行為はないことから、退職金規制のある職場なら通常これを支給することになります。失業手当に関しても、懲戒処分だと給付制限のかかる期間が設けられますが、普通解雇なら通常、給付制限期間なく保険金を受け取ることができます。

解雇が無効になることのリスク

法的な有効性をよく考えないまま解雇をしてしまうと、その解雇が無効と判断され、事業者は次のリスクを負うこととなります。

  • 解雇時点からの賃金の支払い義務
  • 慰謝料等の損害賠償金の支払い義務
  • 社会的な信用の失墜

無効となった時点で、自社の責任で労務を提供できなかったと評価されますので、従業員には解雇期間中の賃金請求権が生じます。さらに解雇手続き一連の中で酷い扱いをしていると相手方に慰謝料の請求権が生じる可能性もあるのです。加えて、従業員と揉めていることが世間に知られると自社の印象も悪くなってしまいます。

このような問題が起こらないよう、解雇に対しては慎重に検討を進めましょう。

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